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500 :ラーメン大好き@名無しさん:2011/04/14(木) 18:20:11.14 ID:UFN9YRa3
小惑星の衝突が不可避であることがNASAから発表されて一カ月、
ブルース・ウィリスのような英雄は結局現れることなく最後の日を迎えた。
切れかけた蛍光灯がちらつく閑散とした商店街には混乱に乗じた略奪の爪痕が残っている。
時折響き渡る銃声と怒号。以前のような活気はもうない。
松戸の街はすっかり変わってしまった。

黄色いひさしに透けてぼんやりとした灯りと、この荒れ果てた街とは不釣合いなほど整然とした行列が見えた。
ラーメン二郎 松戸駅前店は最後の営業を続けていた。

両手に白い息を吹きかけ擦り合わせた。周りを見回すといつものシャッター麺バーだ。
会釈などという野暮なことはしない。目を見れば何を考えているのかわかる。
今日の彼らの目には動揺の色が見え隠れしていた。
悠久の旋律と思われたロット組曲の最終楽章、「ロットレクイエム」が
始まろうとしていることを信じられずにいるのだろう。

「へいお待ち。・・・兄ちゃんはアフリカに逃げねえのか?」
「そんなお金ありませんし、助かる保証もありませんから。親父さんこそなぜ逃げなかったんですか?
あなたなら火星移民ロケットにも搭乗できたはず。この味を後世に残せるのはあなたしかいないんですよ!?」
「そうはいかねえんだ。俺はこいつを見捨てて出て行くわけにはいかねえからな。」
店主は後ろを振り返る。そこには勢い良く湯気を上げる寸胴鍋があった。
松子さんは何を勘違いしているのか顔を紅潮させていた。

「生き延びたところで俺一人じゃ二郎は作れねえ。お前さんたちのいない二郎は二郎じゃない。ラーメンだ。」
ふと我に返ると滝のように涙が溢れ、丼の中に滴っていた。箸を持つ手が震える。
「カラメ、コールしてないのに・・・。」
「俺は店を開けてお前さんたちを迎えることしか出来ない不器用な男さ。・・・さて、明日の分の麺をこしらえるとするか。」

そのとき、空が赤く光った。


ちなみに店主と話しているうちに麺が伸びってしまったので半分以上残しました。

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@10 months ago